お役に立つ動画研究所

日活撮影所で「嵐を呼ぶ男」のメイキング見学が19歳の映像修業の初体験でした。

動画の購入者、短時間で特定可能 電子透かし技術開発

KDDI研究所と、三菱電機インフォメーションシステムズ(MDIS)は、2013年10月8日、動画コンテンツの購入者ごとに異なる電子透かしを高速で埋め込む技術を発表した。同技術を利用すると、10分の動画コンテンツに対しおよそ2秒(ビットレート・7Mビット/秒、大きさ約500Mバイトの場合)で購入者を特定可能な電子透かしを埋め込めるという。

 
技術概要図(KDDI研究所のデータ、以下同)
画像の拡大

技術概要図(KDDI研究所のデータ、以下同)

 
利用イメージ
画像の拡大

利用イメージ

 

 現状、各サービス事業者は違法流通を抑止するため、独自の暗号/復号技術と再生用アプリケーションを用いてコンテンツを保護するDRM(digital rights management:デジタル著作権管理)や、各ファイルに著作権情報やユーザー情報を埋め込む電子透かしを用いている。しかし、DRMは各社独自技術のため、コンテンツ保護技術の開発と維持にコストがかかる。また、電子透かしではユーザー情報の埋め込みとその後のエンコード処理に、動画コンテンツの実時間と同程度の時間がかかり、配信要求ごとに電子透かしを埋め込むことは実用面で課題がある。

 

 今回の技術では、1つのコンテンツに対して異なる電子透かしを埋め込んだ複数の動画ファイルを、エンコード処理した上で予め用意しておく。配信要求があった際、ユーザー情報に基づいてコンテンツ・ファイルを抽出し、再結合して配信する。アップロードされた動画が一部であってもユーザー情報を取り出せるようにするため、フレームに埋め込む情報量や再結合前に抽出する動画データ量などを最適化しており、数十秒から数分程度の動画でユーザーが特定可能なレベルにあるという。

 

 同技術の開発に使用した映像用電子透かしは、MDISで販売しているもので、動画コンテンツに各種加工を行っても電子透かしの情報が読み出せる。 また、電子透かしの埋め込みによる画素の変化は「人間が認識できないほど軽微なもの」で、今回の技術においても、エンコード処理時のフレーム抽出・結合を工夫するなどして画素の劣化は解決できたとしている。

 

 今後は、動画コンテンツ配信事業者向けのサービスとして、早期の商用化と、より高速な生成化技術の実現を目指す。

 

(Tech-On! 森元美稀)

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0900U_Z01C13A0000000/