お役に立つ動画研究所

日活撮影所で「嵐を呼ぶ男」のメイキング見学が19歳の映像修業の初体験でした。

ミニ動画ストリームと写真共有ストリームは融合するか

Android版Vine

2013年08月26日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー


僕が今年“推して”いるVine(参考 スカートと動画は短めが素敵? 動画共有サービス戦国時代はじまる)が、ユーザー数4000万人を超えたという。Instagramが同じようなミニ動画サービスを開始したことで、やや劣勢と伝えられていたが、急成長は続いていたわけだ。

2012年6月にニューヨークの若者3人によって創業されたVineがTwitterに買収されたのは、2012年10月だ。設立後わずか4カ月のスピードバイアウトだったが、当時はあまり話題にならなかった。なぜなら、彼らはまだサービスさえ出していなかったからだ。

Vineに目を付けて売却に同意させたのはジャック・ドーシーというのは有名な話で、InstagramをFacebookに奪われたことを長いこと根にもっていたドーシーからすれば、Vineが順調な成長を見せたことに溜飲を下げたことだろう。

モバイルインターネットのトラフィックは、PCのトラフィックをすでに超えている。実際僕が運営しているソーシャルネットワークRevolver(現在まだベータテスト中)でも、いまだブラウザベースでアプリ化していないにもかかわらず、70%以上がモバイル経由である。

スマートフォンはせいぜい5インチほどの小さな画面であり、横に狭く縦長ではあるが、それでもそれほど多くの情報を一度に見せることはできない。だから多くの情報を見ようと思えば、スクロールを繰り返さざるを得ない。つまり、ゲームや映画といったコンテンツ以外の情報コンテンツを見せるのであれば、縦に長く、おもに時系列に情報を流すタイムライン型、というよりもストリーム型と呼ぶべきUI/UXが唯一無二の方法になる。

いわゆるマルチメディア的なコンテンツの中で、音楽や動画はどうしても尺が長いから、ひとつのコンテンツを楽しむために相当の時間をユーザーに消費させることになる。対して写真はデータそのものが静的なものだし一覧性もあるから、ユーザーが情報の取得に消費する時間はテキスト以上に短くてすむ。だから前述のタイムラインもしくはストリーム型のUI/UXには、テキスト以上に親和性がある。これが、写真共有型のサービスが大ブレイクしている理由だ。

Vineがブレイクスルーしたのは、意味のあるリッチな動画を長々と見せることはYouTubeに任せ、動画ではありながら限りなく写真に近い瞬間的なコンテンツとして成立させる=ストリームの閲覧で必要以上にユーザーの時間を消費しないギリギリの尺を発見したことにある。

要するに、6秒という絶妙な尺にフォーカスしたことで、ストリーム上に動画を流すという矛盾をうまく超え、ユーザーに受け入れさせたのだ。しかも動画を無限ループさせることで、じっくり何度見てもおもしろいメディアとしても成立した。

繰り返すが、モバイル全盛時代において、狭くて縦長の画面に情報を流し、細切れの時間の中でユーザーを楽しませるのが、現代に求められている最良のUI/UX(ストリーム)である。このストリームに対してテキストだけでなく、写真を織り込むことでFacebookがまずブレイクし、次にPinterestが画像だけを流す割り切りによってブレイクした。