■時代を読んだ企業ほどソーシャルビジネスを始めている 〜SonyとPanasonicが凋落する時代>
安さ競争に負けて業者が半減してから目が覚めた今治タオルのように、「中国の安いタオルと競争するか、それとも高品質な世界ブランドに育てるか」という問題に向き合い、後者を選ぶことで業界全体を変えていくという意志が、今のPanasonicには片鱗も見られない。
本当に「食えない」という切実さがあっても、大企業は会社ごと売り飛ばすか、リストラで縮小して、あとは社長としては退陣すれば良いという甘えがないとはいえない。
今治タオルは、職人を抱える中小企業だったからこそ、仲間が次々に廃業する姿を見て、奮起した。
しかし、大企業にはそうした「目に見えるコミュニケーション」の中で危機感を共有していくパートナーシップを築くのが難しい。
もちろん、ジョブズのように「うちはイノベーションに絶対の自信があるから、ビルよ、アップルの建て直しに金くれよ」とマイクロソフトに声をかける人材も、Panasonicにはもういないだろう。
NHKの「メイドインジャパン 逆襲のシナリオ」を見ただろうか?
あの番組では、「ウォークマンを出せたSonyはハードウェアメーカーだったからソフトウェアメーカーを自認していたアップルのiPodを作れなかった」とか、「日本らしい縦割りの企業文化がコミュニケーション不足を生み出したから』とか、いかにもな反省論が展開された。