人は禁じられた方向に努力する
組織やチームの文化というものは、スローガンや目標ではなく、日常の動作やおしゃべりにおけるちょっとした制約が作り出す。
「全部英語」は極端であるにせよ、その会社、その組織、その業界独自の言葉や言い回しを作ったり、あるいは「その場で発してはいけない言葉」を作って共有すると、その場には独自の空気が生まれる。外から入ってきた人が「その組織の人」になるまでの時間は、そうした空気がある場所では大幅に短くなっていく。
制約が空気を作る
「ノー」を禁じた組織には、「ノー」を表現するための語彙が増えていく。「現実的に」を禁じた会議室からは、実際に実現できるアイデアが増えていく。
何か到達したい状態があるのなら、それを目標として声高に叫んでみせるよりも、目標と反対側の単語を禁じてやると、人間は案外、その方向に能力を発揮する。
「はい」や「分かりました」みたいな、暫定的な肯定を表現する言葉は、状況を肯定しているようでいて、同時に一種の停止を表現しているようにも思える。
「はい」や「分かりました」をチームから禁じると、聞いて理解したあとは、動くことでしか「はい」を表現できなくなる。リーダーから指示を受けたら、部下の側は「はい」ではなく「努力してみます」でもなく、「目標の達成にはこれが必要になります」という返答を提出する必要が生まれる。
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