テレビが人間社会に及ぼす影響:社会学的研究の数々
テレビ放送がない地域との比較を使って、その影響を分析する研究が行われている。あなたの家庭では、あなたとテレビのどちらがよい教育者になっているだろうか?
カリフォルニア大学サンディエゴ校の経済学者ゴードン・ダールは、フットボールのチームが予想外に負けたときに、そのチームのホーム・シティでは家庭内暴力が急増するという相関がある(日本語版記事)ことを示した研究者だ。ダール氏は最近、『Family Relations』誌において、メディアが家族に及ぼす影響について論じている。
ダール氏が取り上げている研究のひとつでは、インドネシアの一部の村が地形の関係で、たまたま他地域よりテレビの放送信号が届きやすくなっていることに着目している。テレビの受信状態が良好なそれら地域の住民は、地域のコミュニティ活動への参加傾向が低かった。その傾向は、大都市からの距離など、研究者が考えつきそうなあらゆる要素と無関係のものだった。この論文のタイトルは、「テレビやラジオはソーシャル・キャピタル(社会関係資本)を破壊するか」という悲観的なものだ。
一方で、インドの180の村を対象にした研究では、一部の村でケーブルテレビ放送が開始された影響について調査している。住民がデジタル放送を通じて広い世界のことを知るにつれ、ケーブルテレビのない他の地域に比べて、家庭内暴力を容認する傾向が弱まり、女性の自立が促進され、出生率が低下したという。この論文のタイトルは、「ケーブルテレビはインド女性の地位を向上させている」という肯定的なものだ。
http://wired.jp/2012/06/19/natural-experiments/?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter&utm_campaign=wired_jp