お役に立つ動画研究所

日活撮影所で「嵐を呼ぶ男」のメイキング見学が19歳の映像修業の初体験でした。

誰でも「映像作家」に 操作簡単、ホンダの動画アプリ

動画のコマ数を選び(画面下段左)、動画を撮影、フィルターで加工(同右)する

ホンダが昨年11月に公開した動画作成アプリ「ROADMOVIES(ロードムービーズ、RM)」の利用が拡大している。簡単な操作で誰でも完成度の高い映像が作成できるとあって、iPhoneのみの対応ながら7月末時点で累計ダウンロードは130万を超えた。一見、カーライフとはあまり関係がないアプリ。しかし、作成した動画がネットで拡散する過程で、ホンダのサービスを知るしかけが随所にちりばめられている。

 「ドライブに限定するよりは、使い勝手を高め、生活の中の思い出作りに役立ててほしかった」。RMの開発を担当したインターナビ事業室の三河昭広主任はこう語る。24秒の動画を作成する手法は簡単だ。アプリを立ち上げて、まずは1秒×24ショット、2秒×12ショット、3秒×8ショットの3つから、動画の作成パターンを選ぶ。あとは手順に従い動画を8~24回撮影するだけ。手動撮影するのに加え、たとえば車のダッシュボードに設置して1キロごと、1時間おきなど距離(100メートル~20キロ)や時間(1分~1時間)を設定してのインターバル撮影も可能だ。

 24秒分の動画が撮れたら、9種類の加工フィルターを選ぶ。そのままの色調を生かせるノーマルから、白黒、映画調などがそろい、フィルターがかかると映像の完成度は格段に高まる。BGMはコマ割映像に合うようにとアーティストらに依頼した楽曲を14曲提供。映像の雰囲気に合わせて曲を選べば完成だ。動画の最後には、まるで映画のエンドロールのように、撮影日時が現れる。

子どもの成長記録やバイクでのツーリング風景、海外旅行の思い出などを撮影する人が多く、画像は動画共有サイトのユーチューブやフェイスブック(FB)にアップできる。FB上には、動画と一緒にRMのホームページ(HP)URLも表示される。HPに飛べばホンダが運営するカーナビ連動の会員制交通情報サービス「インターナビ」などについてもわかるしかけだ。

 アプリ起動時には大きくはないがホンダのロゴが現れる。直接の販売促進にはならないが、長期的にみれば「学生でも簡単に使えるアプリなので、ホンダのファン育成にもなる」(三河氏)。もちろん、車やバイクを運転する人にとっては、ドライブの楽しさ向上につながる。宣伝色を消し洗練度を高めたことが、翻ってホンダの取り組みの周知につながっているようだ。

(松本史)

 

[日経MJ2013年8月9日付]