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日活撮影所で「嵐を呼ぶ男」のメイキング見学が19歳の映像修業の初体験でした。

ソニーの新型カメラで加速する「4K」への道 「異端児」に先を越された日本勢、巻き返しへ

英国営放送のBBC(英国放送協会)は7月5日、3D放送の無期限停止を発表した。2011年から2年間、試験放送を実施してきたが、今年11月に放送する人気ドラマの特別編を最後に3D放送から事実上、撤退する。視聴者からの支持を得られず、需要がないと判断した。

 家電メーカー各社は、急速な価格下落でコモディティー(汎用品)化が加速する薄型テレビ市場を、3D対応テレビで再び活性化したいと期待をかけてきた。だが、米スポーツチャンネルESPNに続き、世界最大の放送局であるBBCが3Dからの事実上の撤退を決めたことで、3Dテレビの失敗が決定的ともいえる状況になった。

 その一方で、新たな技術に期待が集まっている。それが、ハイビジョンの4倍の解像度を持つ「4K」だ。ソニーやシャープ、韓国サムスン電子など家電各社は、4Kテレビの発売を競っている。現在、世界で4Kの放送を実施している国はどこにもない。ブルーレイ・ディスクでも、4Kのコンテンツは発売されていない。ソニーは6月から、55型、65型の4Kテレビを日米欧などで発売しているが、米国で始めた4K映画のインターネット配信サービスでも、視聴できる4K映画は年内に100本と十分とは言えない。

 それでも、4Kを「次世代テレビ」の本命とみる動きが広がっているのは、映画業界をはじめとした映像制作の世界で、4Kが急速に普及し始めているからだ。4Kを撮影するカメラや映像制作環境が整ってきたことで、従来のハイビジョン映像の制作の延長で4Kを手軽に扱えるようになりつつある。

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 映像制作の現場で4Kが浸透し始めた背景には、4Kカメラの技術競争が勃発していることにある。

 その発端は、米カリフォルニアに本社を置くベンチャー企業レッド・デジタル・シネマが2007年、世界初の4Kカメラを発売したことに遡る。「RED ONE」と名付けられたそのカメラは、技術力の高さと4K映像の美しさから映像制作の専門家たちに衝撃を与え、一部のハリウッド映画監督やカメラマンなどから支持された。