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日活撮影所で「嵐を呼ぶ男」のメイキング見学が19歳の映像修業の初体験でした。

国際的な注目を浴びているインドの映画産業。マサラムービー!混沌としたエンターテイメントの魅力

映画『ムトゥ 踊るマハラジャ』は、日本で最も知られたインドの映画と言えるであろう。1998年に日本で公開されたこの作品は、インドの国民的スター俳優、ラジニカーント主演の陽気なタミル語映画だ。東京・渋谷のシネマライズで公開され、23週間におよぶロングラン上映を記録し、観客動員数50万人超の大ヒットとなった。『ムトゥ踊るマハラジャ』は、インド映画の魅力を日本に一挙に知らしめた作品で、人気役者陣の共演、踊りと音楽、殴り合いやコミックタッチの幕間といった、インド映画ならではの要素が凝縮された映画だ。

 

シネコンとして人気を集める「サプナシネマ」©Aditi Thailang

 インドの映画産業は、毎年20言語から成る作品を1,000本以上製作しており、産業資本の9,300万ルピー(1億6,000万円)は増加の一途だ。また、劇場のチケットセールスと製作本数は、世界各国の映画産業と比較してもトップクラス。作品の質は、コピー作品や劣悪なものまで千差万別ではあるが、それでも人々は映画館に足を運ぶ。 

 入場料わずか10ルピー(18円ほど)のプレハブ小屋のような劇場から、入場料1,200ルピー(2,100円ほど)の大型シネコンでの上映まで、インドにおける映画とは、階級、性別、宗教、政治を超えた国民的娯楽なのだ。インド映画は、総じて「ボリウッド」と呼ばれる。これは、ムンバイの旧称「ボンベイ」の頭文字「ボ」と、アメリカ映画産業の中心地「ハリウッド」を合わせてつけられた呼称だ。そのほとんどがヒンディー語の映画に限られており、タミル語(コリウッド)、テルグ語(トリウッド)、ベンガリ語(これもトリウッド)やカンナダ語(サンダルウッド)といった言語で制作された多くの映画はほとんど知られていない。 

 インド料理に欠かせないスパイスのことを、ヒンディー語で「マサラ」と言うが、この言葉は風味豊かな料理の形容詞としても使われる。このことから、あらゆる要素が凝縮されているインド映画は「マサラムービー」とも呼ばれる。アクション、コメディ、ドラマといった既存の枠にはめるのは、ボリウッド監督たちの性には合わないのだ。すべてのジャンルが連続的に、ときには同時進行してしまうのが「マサラムービー」の醍醐味でもある。

 http://www.blwisdom.com/lifeculture/series/wtrend/item/8871-02.html?mid=w414h90100001369923