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日活撮影所で「嵐を呼ぶ男」のメイキング見学が19歳の映像修業の初体験でした。

『研究発表のためのスライドデザイン』 「分かりやすいスライド」作りのルール 宮野公樹=著

見た瞬間に伝わってしまうスライドを作る!

 スライドの出来次第で、発表の印象は大きく変わる。必要な情報がきちんと伝わるスライドは、聴衆にとって「わかりやすい」ものになっている。本書はスライド作りこ欠かせない根本的な考え方と、「見た瞬間に伝わってしまうスライド」のルールを厳選収録。ルールを守るだけで、誰でも簡単に「わかりやすいスライド」を作れるようになる。


はじめに

スライドの出来がプレゼンテーション全体のわかりやすさを決定付ける

 人間が外部から情報を得る場合、その大部分を視覚に頼ると言われています。これはプレゼンにおいても例外ではなく、聴衆は発表者が口頭で行う説明より、スライドから得られる情報で発表内容を理解しようとするのです。つまり、プレゼンにおいてスライドが果たす役割は非常に大きく、スライドの出来がプレゼン全体のわかりやすさを決定付けると言っても過言ではありません。

 出来のよいスライドは、聴衆がスライドを見た瞬間に発表者の伝えたいメッセージを理解できる状態になっています。反対に出来の悪いスライドは、発表者の伝えたいメッセージがわかりにくい、あるいは聴衆がそれぞれ異なるメッセージを思い浮かべてしまう状態になっています。出来のよいスライドを作成するのに必要なのは、聴衆にわかりやすく伝えるための根本的な「考え方(姿勢)」と、実際にスライドをわかりやすく見せるデザイン的な「技術」の2つです。これら2つをしっかり身に付けることが、出来のよいスライドを作成し、プレゼンを成功させるための第一歩です。

スライドをわかりやすくする「考え方」と「技術」

 聴衆にわかりやすく伝えるための根本的な「考え方」とは、自分の研究内容を伝えることのみに注力せず、聴衆の立場に立って、プレゼンの場を自分にとっても聴衆にとっても最大限に価値あるものにしようとするマインドです。「本当にこの方法で瞬時に伝わるだろうか」「私が伝えたいことと、聴衆が知りたいことの関連は何だろうか」「聴衆にどのような価値を提供できるだろうか」などの自問自答を通して、プレゼン全体の構成やスライドに掲載する内容を検討していくのです。

 スライドをわかりやすく見せるデザイン的な「技術」とは、聴衆の目線が伝えたい内容の箇所に自然と集中してしまうようにする手法や原則のことです。これには文章を図に変換して表す手法や、配色の原則、グラフの見せ方の原則など、さまざまなものがあります。これらのデザイン的な「技術」は、先に述べた根本的な「考え方」があってはじめて成り立つものです。根本的な「考え方」が確立されることで、各スライドに掲載する内容や伝えたいメッセージが明確になり、聴衆に伝わりやすいスライドを作成する土台が整います。その土台の上でデザイン的な「技術」を用いることこそが、完成度の高いスライドデザインにつながるのです。

メッセージが自然と伝わってしまうスライドを作成できる

 本書では、スライドをわかりやすくする「考え方」と「技術」の両方を意識しながら、一般的な研究発表に使うスライドの作成方法を学んでいきます。まずプレゼン全体の構成を検討するところから始めます。具体的には、論理的な構成の組み立て方や自問自答する際の「問いかけ」例などを通して、わかりやすく伝えるための「考え方」と、各スライドに掲載する要素や伝えたいメッセージを明確にするまでの流れがマスターできます。そのあと、数多くの実例を交えてデザイン的な「技術」について解説していきます。多くの人が作ってしまいがちなわかりにくい例と、デザイン的な「技術」を用いたわかりやすい例を目で確認しながら、掲載する要素や伝えたいメッセージを表現するやり方がマスターできます。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/35523