お役に立つ動画研究所

日活撮影所で「嵐を呼ぶ男」のメイキング見学が19歳の映像修業の初体験でした。

D・カーネギーの「人を動かす」。言わずと知れた名著です。本エントリーでは、この「人を動かす」をまとめるとともに、感情へ訴えかける方法について考えます。

まず、この本には、ひとつの根底に流れる思想があります。それは、人間の非論理性です。

およそ人を扱う場合には、相手を論理の動物だと思ってはならない。相手は感情の動物であり、しかも偏見に満ち、自尊心と虚栄心によって行動するということをよく心得ておかねばならない。

カーネギーの人間観

「人を動かす」は、"How to Win Friends and Influence People"の訳であって、内容も非常に暖かくポジティブな示唆に富んでいますが、その根底には人間の論理性に対する深い絶望があります。それは、自身をふり返っても耳が痛い話で、論理的な人物の皮をかぶっていても結局は自己保身にやっきになっている小さな人間であることを思い知らされます。

わたしは、残念ながら40歳近くになってやっと、人間はたとえ自分がどんなにまちがっていても決して自分が悪いとは思いたがらないものだということが、わかりかけてきた。
他人のあら探しは、なんの役にも立たない。相手は、すぐさま防衛体制をしいて、なんとか自分を正当化しようとするだろう。それに、自尊心を傷つけられた相手は、結局、反抗心をおこすことになり、誠に危険である。
犯罪者は、たいてい、自分の悪事にもっともらしい理屈をつけて正当化し、刑務所に入れられているのは不当だと思い込んでいるものなのである。極悪人たちでさえも、自分が正しいと思い込んでいるとすれば、彼らほどの悪人でない一般の人間は自分のことを、いったいどう思っているのだろうか。
このあたりは、まず最初の章のタイトルが「盗人にも五分の理を認める」であることからも、どれだけ痛切に考えているかが伺えます。

http://d.hatena.ne.jp/adgt/touch/20121020/1350730084